はじめに
普段会話している際に「語尾」は皆さんどれだけ意識しているでしょうか?
実は語尾一つで相手に与える印象は変わります。今回はそんな「語尾」にフォーカスを充てたコラムになります。
■ よく聞く「語尾」の話し方
まず、よく見かけるのが「聞き取りにくい語尾」です。聞き取れない理由はさまざまで、単純に声が小さくて聞こえなかったり、早口すぎて内容が聞き取れなくなる人もいます。また、「○○なんですけど......」と文章の途中で言葉が終わってしまい、語尾そのものがなくなることもあります。
プレゼンターが自信なさげに見えると「プレゼン内容に自信がない」と思われてしまいますし、聞こえにくい言葉は、聞き手のストレスを生みます。「え、今なんて言ったの?」と思いながら聞き続けたり、確認のために質問したりするのは、聞き手からすれば手間がかかる行動です。
日本語は、語尾で肯定文か否定文かが決まります。例えば「今期の売り上げは予算達成しました/しませんでした」「今回の施策を採用します/しません」など。「したのか、しなかったのか」と恐ろしいことに逆の話になってしまいます。聞き手に誤った認識を持たせないように、相手が聞き取れない話し方は、避けなければなりません。
次によく聞く語尾は「雑な語尾」。語尾までしっかり聞こえるように声を出すのは大切です。しかしその音が強すぎると、聞き手にきつい印象や失礼な印象を与えることになります。代表的な例としては「語尾だけ音が高くなり、ボリュームがぐっと大きくなる」、「"○○なんですよねー""○○なんですけどー"など、語尾を不用意に伸ばすことが多い」、質疑応答など聞き手からの発信に対して「"○○っすか?"(での声が小さく"っ"に聞こえる)と反応する」などです。
このような語尾を使うプレゼンターからは、勢いを感じる反面、粗雑な印象を受けやすいのです。「こんな雑な対応をする人は、仕事に対してもいい加減なのではないか」など、聞き手に不信感を持たれてしまっては損です。特に聞き手からの質問や反応に対して、雑に見える反応をするのはいただけません。聞き手は自分の存在を大事にしてもらっていないように感じ、プレゼンターへの好感度が下がってしまうでしょう。
そして、「ずっと同じ語尾」。文章の最後が、いつも同じ言葉の人がいます。例えば「今回ご紹介する内容は?になっております。1つめは?になっております。次は?になっております」という"おります派"や、「今回は?をご紹介させていただきます。1つめに??をご紹介させていただきます。まずは特徴からご説明させていただきます」の"させていただきます派"、他には"なります派"が代表格といえます。
これでは話が単調になってしまい、聞いているのがつまらなくなり、聞き手の集中力が欠けてしまうのです。また話の重要なポイントもあいまいになってしまいがちです。良い内容のはずなのに、どこがポイントなのか掴んでもらえず、聞き手の眠気を誘ってしまう結果となります。
■ なぜ?人が不快に感じる話し方の「語尾」とは
・語尾が伸びる
女子高生の話し方を例えに出すことが多いですが、「○○でぇ?」「○○にぃ?」というように語尾を伸ばして話す癖です。必ず語尾の後ろに母音(「ぇ」「ぃ」)が入ってしまいます。ビジネスシーンだと、頼りないとか幼いという印象を与えてしまいます。どんなに内容がしっかりしたプレゼンでも、話し方で損をしてしまいますので伸ばさないようにしっかりと発音してください。それだけで不思議なくらい印象が変わります。
・語尾が強い
語尾が強くなる癖の人は印象がきつくなってしまうことがあります。それ以外にも変なリズムがついて聞きづらくなったりします。「○○で、」「○○に、」「○○の、」と句読点の前の言葉を強く言い、それが繰り返されると、聞いている人が話の意味を理解しづらくなります。語尾をソフトに話すように気をつけてみてください。熱心に話していると語尾に力が入りますが、耳に付くようならば注意しましょう。
■ 話し方の上手い人は語尾を操る!?
【「〜思います」という語尾は本当に思いを伝える時だけ】
「それでは新商品についての説明を始めていきたいと思います。」
「それでは会議を始めていきたいと思います。」
この始まりの「思います」本当に思っていることを伝えるのならいいのですがそうでない時に使ってしまう方がとても多いです。
「それでは新商品についての説明をいたします。」
「それでは会議を始めていきます。」
のように言い切った形にした方が自信を持って伝わります。
「〜思います」ということで言っている本人は(柔らかいニュアンスにしたい)という思いがあるのでしょうが多用すれば逆に自己主張を強くするばかりです。
例えば司会者が
「これからパーティーを始めていきたいと思います。」と言ったところで司会者の思いは必要ないし関係ないのです。
これを知ってしまうと誰かが話しているときの「〜思います」が気になるようになり自分の癖も治すことができます。
【息が足りていないと聞き取りづらい語尾になる】
声は息が流れて出るものです。そして息は語尾にいくほど少なくなります。息が足りていないと語尾の声が小さくなり滑舌も悪く聞き取りづらくなります。日本語は語尾まで聞き取ることによって意味が伝わるようにできています。
「昨日のイベントは成功しました。」
「昨日のイベントは成功しませんでした。」
語尾まで聞き取れなければ正確に内容が伝わりらず自信がないように聞こえます。文章が長くなればなるほど語尾の息は少なくなります。
「わかりやすいプレゼンは状況設定が明確です。」
例えばこんな文章であれば「明確」という単語は声のボリュームを上げたりなどして強調した方がより伝わりますが息が足りないとそれもできません。
きちんと腹式呼吸でお腹で息を支えて発声すること、また間を作って息継ぎをすること。ただ息継ぎが多くなりすぎると聞きづらい話し方になってしまいます。歌の上手で聞きやすい歌手の方は声が長く出せる方が多いですよね。
■ アナウンサーがお手本!「語尾」を直して印象チェンジ
アナウンサーが意識して気をつけていることのひとつに、「語尾まではっきり話す」というポイントがあります。
最後まではっきり話すことが、相手の心まで言葉を届けるコツ。
「〇〇だと思うのですが......」「〇〇かもしれませんねえ」というように、話の最後をあいまいにしてしまうと、自分の気持ちをはっきり伝えることはできませんが、「です」「ます」としっかり締めくくることで、意思が明確になるのです。
断定したくないときでも、「〇〇だと思います」「〇〇ではないでしょうか」というように最後は引き締めましょう。
語尾が引き締まることで、具体性が高まって話全体の印象がよくなり、好感を与えることにもなります。
語尾を伸ばさないことや、語尾の音を下げて終えるということも、アナウンサーが印象をよくするために気をつけている話し方のポイントです。
おわりに
如何でしたでしょうか?少し語尾を意識するだけで印象は変わりますよね。
ビジネスシーンにおいてプレゼンはとても大切な場です。是非上手く役立てて下さい。